「砂時計 Sands’Chronicle」
この映画版のユニークな点は大まかなストーリーは原作をなぞっているものの、その内容は全く異なるものに仕上がっているところ。

母の自殺というトラウマから逃れられない主人公杏(あん)の心象描写の数々は、まるでホラー映画のようなタッチで表現されておりちょっとコワいのです。

ただもちろん、この作品の本質であるラブ・ストーリーであるという点はきっちり押さえているので、泣きどころではちゃんと泣かせてくれるのがまたいい訳ですね。

原作のテイストの忠実な映像化はTVドラマ版の方で既に行われており、同じ事をやってもねぇ、という佐藤信介監督の判断でしょうけど。

おかげで原作ファンからはかなり高い確率で拒否反応があったであろう事が予想されます。
もちろん映画はTVドラマとは違って2時間前後という時間の制約があるので、12年間という原作の時の流れを再現する事は不可能でしょう。

この思いきったアプローチのおかげで原作の単なるダイジェスト版ではない独自の個性が生まれて、個人的にはお気に入りの作品となりました。